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HOME LIBRARY COLUMN SOMECITY 2011-2012 TOKYO 2nd FINAL コラム「STORY WRITER」

SOMECITY 2011-2012 TOKYO 2nd FINAL コラム「STORY WRITER」

2012年1月25日、その歴史は塗り替えられた。

今シーズン最高の観客動員数を記録した最終戦は、
今シーズン最高のシナリオが用意されていた。

「初代王者」FSQUADの帰還、
「絶対王者」UNDERDOGの敗北、
そして「最強の道化師」勉族の初優勝。

「裏で誰かが脚本を書いてるんじゃないか?」
という声まで聞こえてきそうな、
あまりにも出来過ぎで、感動的だった、
そんな記録ずくめの一夜の様子を、
ゆっくりと語ることにしよう。


良くも悪くも、「シナリオ通り」だったのだろう。

デッド・オア・アライヴな「入替戦」SOMECITY CRASHを制して、「堕ちた勇者」F’SQUADが今季無敗のまま、レギュラーチームにカムバック。
実力云々ではなく、遊び心の差がスコアに出たという印象。

この日のF’SQUADにあって、TOKYO BEASTに無かったもの。
それは、スリルと興奮だった。
もっと分かりやすく言えば、「ドキドキ」と「ワクワク」だ。

「闘将」#7 K-TAが、ファールで体勢を崩されながらも、バックボードに背を向けながら捻じ込んだアメイジングなアタックはオーディエンスの心と満員のクラブチッタを揺らすものだったし、「NY帰りのビッグマン」#10 ABは、190cmの身体を削るように何度も試みたアタックは、勇敢の一言に尽きる。

一方、ロスター登録こそしたもののDNPに終わった「跳躍獣」#13 SOGEN・「スピードスター」#3 GOUSHIの両翼を失ったTOKYO BEASTは、「赤きサイクロン」#6 ザンギエフがまさかのザンギエフカットで登場するなど、この一戦に賭ける想いを「身体を張って」表現していたのだが、「猛獣軍団の頭脳」#1 KINGの選択は、リスクの低い確実なバスケットボールだった。
ケタ違いの身体能力を活かし、ディフェンスで見せ場を作った「褐色の弾丸」#38 マイケルも、肝心のオフェンスではピリっとせず。

入替戦特有のピリピリした空気が、彼等から牙を奪ったのだろうか。
レギュラーチームを維持するためにプレーしていた感のあるTOKYO BEASTと、ただ純粋にストリートボールを「やりたいから」やっているF’SQUADでは、リスクマネジメントに差が出て当然なのかもしれない。

後半開始と共に奏でられた『What’s Onyx/Onyx』が、彼等に勇気を与えたのだろうか。
躊躇いなく放つダウンタウンや、積極果敢に飛び込むアタックなど大胆なプレーで観衆を味方に付けた小さな魔法使いが、32-23で猛獣軍団を下し、見事1シーズンでレギュラーチームに返り咲いたのだ。



極上の波乱が発生した、SEMI FINAL GAME1。

【レギュラーラウンド4位】の平塚Connectionsが、【レギュラーラウンド1位】にして現在リーグ戦3連覇中のUNDERDOGを、49-48で破る極上のアップセットを演じてくれた。

僕が観る限り、絶対王者の敗因は二つ。
チームの精神的支柱・「親分」#3 M21を怪我で欠いたこと。
そしてもう一つの要因が、2011-12シーズンの年間得点王を受賞した「ドライブキング」#9 CHIHIROのハイテンポなドライブインを止められなかったことだ。
中でも、前半終了間際に観客を煽ってAND1を奪った1on1は鳥肌モノで、
「男にはやらなきゃいけない時がある」という彼らしい男らしく力強いコメント通り、実に31得点の大・大・大爆発で、TEAM GREENをプレーで引っ張る。

後半に入って当たり出した「ナスティーシューター」#2 SHIGEOのダウンタウンで、引き離しにかかると、ディフェンディングチャンピオンの勝利を信じてやまなかった会場が、静かにざわつき始めた。

流れを断つべく、早めのタイムアウトを取ったUNDERDOGは、2011-12シーズンのMVPを獲得した「甘いマスクのビターエンダー」#27 MONEYが、リバウンドを奪って3ptラインの外まで一直線。
フリーの味方に目もくれず放ったセルフィッシュなアウトサイドシュートは、反撃の狼煙を上げるダウンタウン!
割れんばかりの大歓声を一身に浴びた若き英雄の雄叫びで、仮死状態のチームが再び息を吹き返す。
すかさず「絶対王者の絶対的司令塔」#45 KOJIがカットインから同点に追いつき、ルーズボール・オフェンスリバウンドに目の色を変えて飛び込んでいたMONEYが執念のフォローで、UNDERDOG逆転に成功する。
「これが王者たる所以なんだな…」
そう思った矢先、再びSHIGEOのロングレンジが火を噴く。
そのボウリング球のようにスピンがかかったアーチは高く、美しい軌道を残してリングに吸い込まれた。
割れるような悲鳴が僕の鼓膜を襲い、スコアボードには45-44が表示される。
平塚Connectionsが1点リードしたこのタイミングで、僕は彼等の勝利を確信した。

どちらが勝ってもおかしくない、互角の戦いだった。
この後、両者ともに2ゴールずつ得点を奪い合ったところで、タイムアップの笛が響き渡る。
念のため言っておくと、」平塚陣営が奪った2ゴールは、2本ともCHIHIROの1on1から生まれたものだった。
最後の1秒まで彼は1on1を仕掛け続けて、そしてシュートをメイクし続けたのだ。
己を貫き通す意味を、その強さを彼は僕達に教えてくれた気がする。

一方、久々のPLAYOFF敗退を味わった、絶対王者・UNDERDOG。
しかしながら、越えるべき壁を、克服すべき課題を見つけた彼等の表情に、絶望の色は浮かんでいなかった。
惜しくも4連覇は成らなかったが、この敗北の味が、彼等を一回り大きく成長させる。
そんな気がしてならない。



SEMI FINAL GAME2は、最初の8分で決まってしまった。

毎度のことながら、ベンチが賑やかな彼等は強い。
最終戦で初めてメンバー全員が集まるという奇跡が起きた【レギュラーラウンド2位】の勉族は、修学旅行気分のベンチが送る大声援とブーイングを武器に、今シーズン一の出来を見せる(但し前半だけ)。

キレが戻りつつある「かつての最強スコアラー」#6 仮エースのアタックを止めるのは、堅守を誇る横濱ディフェンスでも至難の業で、「インサイドの大魔神」#96 ダークロに至っては、最早UNSTOPPABLE。
ポストアップからインサイドアタックを容赦なく決め続け、終いには前節初登場にして大活躍の「オールドルーキー」#5 カーンを相手に、股抜きからAND1を獲得するアメイジングショット!
その後も、終了間際に連続得点を挙げた「はぐれメタルシューター」#3 コヤスを投入するなど、一度も攻撃の手を緩めることなく、全身全霊の力を込めて、最初の8分を駆け抜ける。

早めに点差を詰めておきたい【レギュラーラウンド3位】のTEAM-Sだったが、「濱の44口径」#44 TAKUのシュートタッチがNo Good。
ゲームがアドバンテージルールを迎えた頃、スコアボードには8-30の文字が刻まれていた。

後半、点差からくる油断なのだろうか、完全に緩みきった勉族に対し、横濱のベテラン勢が、遅すぎる反撃を開始する。
遂に当たり出したTAKUの連続ダウンタウン、「横須賀のリビングレジェンド」#7 JUNの決してスマートとは言えない好フォローでゲームを繋いだが、積りに積もった借金22は、あまりにも大きかった。

粘るTEAM-Sを34-41で振り切った勉族が、2年ぶりのFINAL進出決定。



機動力を活かした1on1とアウトサイドシュートを武器に、目下サポーター増殖中の「平塚四重奏」平塚Connectionsと、「笑バスケ」をスローガンに掲げ、唯一無二の空間作りに尽力してきた「柏のエンターテイナー」勉族。
勝っても負けても観客を楽しませてくれた両者によるFINALは、どちらが勝ってもリーグ戦初優勝という、メモリアルな一戦になった。

SEMI FINAL同様、ゲームを優位に進めたのは勉族だった。
珍しく積極的な攻撃参加を試みた「ラフメイカー」#1 ぬまのバンクショットで先制点を挙げると、「かつての最強スコアラー」#6 仮エースが、前の試合大爆発の「平塚のドライブキング」#9 CHIHIROをブロックする上々の立ち上がりを見せる。
そして、攻撃のファーストオプションは言うまでもなく、「ゴール下の大魔神」#96 ダークロ。
徹底的にミスマッチを突いて、難なくゴール下を積み上げていく。

逆に平塚Connectionsは、小回りの利く1on1ジャンキー達が、自慢のドライブインで高い壁を切り崩していく展開。
前半は、勉族が19-25と6点リードして折り返す。

ハーフタイムに行われたアドバンテージルールでは、スーツ姿でコートに乱入した、懐かしの「アドバンテージ職人」#8 イデイがMC MAMUSHIにツマみ出されるという茶番も発生し、オフェンスで登場したCHIHIROも思わずレイアップをミス。

化物語の結末が、近づいてきた。

後半に入ってもダークロが止まらない。
インサイドアタックは勿論のこと、真に警戒すべきはオフェンスリバウンドだった。
コート上唯一のビッグマンは、味方の外したシュートを拾っては沈め、フォローを重ねて20得点の大暴れ。
ペイントエリアを制した勉族にとって、2点を奪うことは造作もないように見えた。

袋小路に追い込まれた平塚Connectionsは、点差を縮めるべく「ナスティーシューター」#2 SHIGEOのダウンタウンで反撃を試みるも、後が続かない。
勉族リードのまま迎えたゲーム終盤、39℃の高熱を押しながらチーム最多の16得点を記録した「小さな死神」#4 TAKATO、CHIHIROの連続ダウンタウンで意地とスタイルを貫き通したが、この日のイエローコートを支配していたのは彼等ではなく、「最強の道化師」だった。
一度でもブレーキを踏もうものなら即座に追いつかれそうなプレッシャーの中、PLAYOFF大活躍の仮エースが、全盛期を彷彿とさせるフェイダウェイを沈め、優勝に王手を掛ける。

タイムアップと「優勝」の2文字が近づく中、平塚部隊決死の反撃をかわしながらパスを繋ぐ勉族。
そしてボールは、チームの創始者・ぬまの手へと渡る。


SOMECITYをスポーツに分類するか、しないかは別にしてだ。
スポーツを見て泣いたのは、生まれて初めてだった。
ウイニングショットのブザービーター・ダウンタウンを決めて感極まった彼の、恐らく初めて聞くはずの叫び声が、僕の瞳に涙を滲ませた。
最終的なスコアは、48-54。
「最強の道化師」勉族が、悲願のリーグ戦初優勝。

彼等の笑バスケが、誰もが心の中に描いていたお決まりのシナリオを書き変え、そしてSOMECITYの歴史を塗り替えた瞬間だった。



文:石井ジョゼ